2024年03月17日
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三百字小説『パットンおばけパットントン』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 パットン戦車は撃破されてしまった。

 しかし、敵を倒さずに撃破されるのはプライドが許さなかったので、おばけになって戦場に化けて出た。

 兵士達はおばけになったパットン戦車をパットントンと呼んで怖れた。

 ある日敵の戦車がパットントンを攻撃してきた。

 パットントンは必死に反撃したが幽霊の弾は全てすり抜けてしまった。

 「これでは敵を倒せないではないか!」とパットントンは叫んだ。

 それを聞いた敵戦車のクルーは悪霊のうめき声だと思い込んで逃げ出そうとした。

 だが、慌てたので操縦をミスって崖から落下してしまった。

 クルーは全員無事だったが戦車は大破した。

 「ついに敵戦車をやっつけた」と言ってパットントンは成仏していった。

(遠野秋彦・作 ©2024 TOHNO, Akihiko)

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